ビットコイン（BTC）は、暗号資産市場の先駆者として2009年に誕生。その後、世界的に取引が広がり、日本でも徐々に取引が可能となり、仮想通貨に興味を持つ人も増えています。
この記事では、「ビットコインは日本でいつから買えたのか？」という疑問を掘り下げ、その歴史や価格推移を詳しく解説します。また、日本での取引環境の変遷や、将来の展望についても触れていきます。
ビットコインは日本でいつから買えた？
マウントゴックスの登場
日本におけるビットコイン取引の歴史は、2010年に遡ります。この年、東京に拠点を置くマウントゴックス（Mt.Gox）が仮想通貨取引所としてサービスを開始し、日本での本格的なビットコイン取引の幕開けとなりました。
当初、1BTCの価格は約7円という低水準でしたが、これが日本における暗号資産取引の始まりでした。マウントゴックスは、急速に成長し、一時は世界最大のビットコイン取引所となりましたが、その急成長の裏で、深刻な問題が潜んでいました。
2014年2月、マウントゴックスは突如としてビットコインの出金を停止。同社は「トランザクション展性」という技術的問題を理由に挙げましたが、実際には大規模なビットコインの消失が起きていました。
2月25日には全ての取引が停止され、同月28日に東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請。この事件で、顧客が保有する約75万ビットコインと、自社保有の約10万ビットコイン、合計約85万ビットコイン（当時のレートで約470億円相当）が消失したことが明らかになり、さらに、最大28億円程度の預かり金も消失していたことが判明し、業界に大きな衝撃を与えました。
マウントゴックスの破綻は、日本のビットコイン市場に深刻な影響を与えました。多くの投資家が損失を被り、ビットコインの信頼性に対する疑念が広がりました。この事件を契機に、日本政府は暗号資産取引に対する規制の必要性を認識し、法整備に向けて動き出しました。
初期のP2P取引
一方で、マウントゴックス以前から、日本では一部の技術愛好家によるP2P（ピアツーピア）取引が行われていました。これは個人間で直接ビットコインをやり取りする形態で、取引所を介さない方法でした。しかし、この方法は技術的な知識を要し、一般的ではありませんでした。
マウントゴックス事件後、日本政府は暗号資産取引の規制に乗り出し、2017年4月に改正資金決済法が施行されました。これにより、暗号資産交換業者は登録制となり、顧客の資産管理や本人確認などの義務が課されるようになりました。
この法整備により、日本での暗号資産取引はより安全で透明性の高いものとなりました。新たな取引所が次々と登場し、ビットコイン取引は一般の投資家にも身近なものになっていきました。
現在、日本では複数の登録済み暗号資産交換業者が存在し、24時間365日いつでもビットコインを含む暗号資産の取引が可能となっています。マウントゴックス事件から学んだ教訓を活かし、日本の暗号資産市場は成熟し、世界でも有数の規模と安全性を誇るまでに成長しました。
ビットコインの価格推移とその背景
初期の価格は1円未満
ビットコインの価格が初めて提示されたのは2009年10月。 当時、1BTCの価格はわずか0.00076ドル（約0.07円）でした。 その後、2010年5月には、フロリダ州のプログラマーが1万BTCでピザ2枚を購入します。この取引は「ビットコインピザデー」として記念日となっています。
2013年：キプロス金融危機による問題
ビットコインが初めての大きな注目を集めたのは2013年です。キプロス金融危機をきっかけに、ビットコインは安全資産としてのニーズが急増しました。その結果、1BTCの価格は8,000円を突破し、年末には約127,800円に達しました。
2017年：日本での本格普及
2017年は、日本でビットコイン取引が本格化した年です。同年4月、修正資金決済法が施行され、ビットコインは法的に認められた決済手段となりました。この影響で価格は急騰し、年末には1BTC＝200万円超という史上最高値を記録しました。
2021年：企業の参入と価格の展望
2021年には、海外の大手企業や機関投資家の参入が相次ぎ、価格が再び上昇。11月には1BTC＝700万円を突破しました。しかし、その後、中国政府の規制強化や世界経済不透明感が影響し、価格は下落しました。
ビットコインの未来：価格予測と課題
ビットコインの供給量は、4年に一度訪れる「半減期」によって調整されています。2024年には4回目の半減期が予定されており、これが価格上昇の引き金になると予想されており、半減期後、ビットコインの価格は大幅に上昇する傾向があります。
2024年のビットコイン価格予測では、多くの専門家が1BTCあたり69,000ドル（約1,000万円）を超えると予想しています。
しかし、2024年11月には既にビットコインが史上最高値を更新し、76,000ドル（約1,160万円）に到達。この急激な上昇は、アメリカ大統領選挙でのトランプ氏の勝利など、政治的要因も影響しているとみられます。
ビットコインの価格は非常に変動が激しく、短期間で大きく上下する可能性があります。2025年には59,537ドル（約900万円）まで下落する可能性もありますが、その後再び上昇し、2025年末には189,313ドル（約2,800万円）に達する可能性があるという予測もあります。
長期的には、2030年までにビットコインの価格が420,248ドル（約6,400万円）に達する可能性があるという楽観的な予測もありますが、これには多くの不確実性が伴います。
日本市場の展望
日本市場におけるビットコインの展望は、いくつかの重要な要素に注目が集まっています。
ビットコイン決済の普及
メルカリが2023年にビットコイン決済サービスを開始し、わずか7カ月で100万人以上の利用者を獲得したことは、日本市場におけるビットコイン決済の潜在的な需要を示しています。メルカリは「世界で最も使われるビットコイン決済の場所」を目指しており、この取り組みが日本のビットコイン決済市場を大きく変える可能性があります。
しかし、日本では現金決済が依然として主流であり、ビットコイン決済の普及には課題も存在します。特に、以下の点が課題の要因です。
■消費者の利用動機：消費者の投資の機会や新技術への関心、日常的な決済手段としての認識が不足しています。
■決済の利便性：オンライン取引や国際送金での低手数料と迅速な処理がビットコイン決済の魅力となっています。しかし、実店舗での利用はまだ限定的で、決済完了までに時間がかかる場合もあります。
■価格変動リスク：ビットコイン決済普及の大きな障壁となっています。暗号資産市場の急激な価格変動は、消費者や小売業者にとって不安定要素となり、日常的な決済手段としての採用を躊躇させる原因となっています。
これらの課題を克服し、ビットコイン決済が日本で広く普及するためには、技術の改善、法規制の整備、そして消費者教育が必要不可欠です。メルカリのようなプラットフォームがビットコイン決済を導入し、利便性を高めていることは、普及に向けた前向きな動きと言えるでしょう。
ETFの承認と個人投資家の参入
ビットコインETFの承認は、個人投資家の参入を促進し、市場の流動性と安定性を向上させる可能性があります。日本においても、このような金融商品の導入が検討される可能性があり、それによって個人投資家にとってもビットコインへの投資がより身近になるかもしれません。
大手企業の新サービス展開
日本の大手企業によるビットコイン関連サービスの展開も期待されています。例えば、メルカリのような成功例に続き、他の大手eコマース企業や金融機関がビットコイン関連サービスを導入する可能性があります。これにより、ビットコインの利用シーンが拡大し、一般消費者にとってより身近な存在になる可能性があります。
技術的課題の解決
ビットコインの送金遅延など技術的課題は、今後の技術革新によって解決されることが期待されています。特に、ライトニングネットワークのような第2層ソリューションの発展が、これらの問題を緩和する可能性があります。
日本市場におけるビットコインの展望は明るいものの、これらの課題を克服し、一般消費者にとって「安心して使えること」「メリットがあること」を示していくことが重要です。技術革新の努力によって、ビットコインは日本の金融・決済システムにおいてより重要な役割を果たす可能性があります。
まとめ
ビットコインは2009年の誕生以来、価格の急騰と下落を繰り返しながら成長を遂げてきました。当初は1BTCが1円以下の価値しかなかったものの、その後の急激な価格上昇により、過去最高値と比較すると1,000万倍以上も値上がりしています。
今後のビットコイン市場は、規制の進展や技術の進歩に大きく左右されると予想されます。デジタルゴールドと呼ばれるビットコインの価値は、多くの投資家や企業に支持されていますが、その価格は依然として非常に変動が激しく、短期間で大きく上下する可能性があります。
今後ビットコイン投資を始める方は、そのような価格動向を理解した上で、冷静な判断を下すことが成功への鍵となるでしょう。また、技術的な進化や規制環境の変化、市場動向などを常に注視し、長期的な視点で投資戦略を立てることが重要です。
ビットコインの将来性は期待されていますが、同時にリスクも存在することを忘れずに、慎重に投資判断を行うことが求められます。
